リズム練習はなぜ重要か?

今回は音楽の三要素である、メロディー・ハーモニー・リズムの中で、「リズム」がなぜ重要だと言われているか考えたいと思います。

まずリズム練習の意義は、グルーブを生み出すリズム感を良くするためです。ここで重要なのは「リズムは演奏者が感じている以上に、聴き手に伝わる」という事実です。これは、自分の演奏をCDなどと合わせて録音するなどして客観的に判断するとよくわかります。これをするとよっぽど上手い人以外は「うわーこの部分のリズム、ちょっとズレててめちゃくちゃキモチワルイ!」という気持ちを経験することになります。


なぜこのように微妙なズレがキモチワルく感じられるのでしょうか。それは、聴覚はタイミングに非常に敏感にできているからです。私たちのタイミングの検知能力は、音と音の間に1ms(1/1000秒)の空白があるだけでそれを理解してしまうほど正確にできているそうです。(左右の耳のタイミングを検知する能力はさらに高く、一方の耳に他方の耳よりわずか20マイクロ(1/1000000秒)早く音が届いたとして、その差を検知できるそうです。)これがリズム練習が重要な理由です。


では1/1000秒=1msのズレを人間の耳が検知できるとして、演奏に与える影響はどれほどなのでしょうか。テンポ120の4分のリズムを弾くと仮定して考えてみます。

テンポ60で1拍1秒なので、テンポ120で1拍は500/1000秒。つまり、テンポ120の4分を弾く時には前後1拍に500の検知ポイントがあって、その中から正確に1/1000のタイミングを見計らって弾かなければならないことになります。そう考えると、いかに正確なテンポを保つのが難しいかが実感できるかと思います。



リズムはどうしても上達が自分では「分かりにくい」ところなので、ギタリストは一般的にメロディーやフレーズの速さなどに注目が行きがちで、メロディーやハーモニーの練習をして、リズムはなんとなくバックに合わせれば良いのでは??そんな細かいこと誰も分からないんじゃない?と思いがちです。(僕だけかもしれませんが…)ですが、「プロのミュージシャンと、アマチュアのミュージシャンの違いはリズムにある」と言われるように、1/1000sの感覚でしっかり弾けるようになることが、とても大切だと言えるのではないでしょうか。

参考:MIND HACKS     出版社: オライリージャパン (2005/12)